将棋ソフトが苦手な局面

将棋ソフトにも苦手な局面があり、そういった場面では人間の方が最善手を指せる。
どのような局面かと言うと、大駒や金駒を切る局面である。

例えば以下の局面である。

これは第三期叡王戦第3局の千日手局である。
棋譜はこちら(公式サイト)

92手目に後手が24馬と指した局面である。
ソフトが示す最善手は▲81銀であり、2分以上読み込んでも最善手は変わらない。
ソフトはApery_WCSC28(2018)である。
技巧2、elmoも最善手は▲81銀である。
技巧2は1分ほどは▲63銀であったが。

ちなみにここでの最善手は▲63銀である。
これで後手に詰めろがかかるが、どう最善を尽くしてもこの詰めろをとくことができない。
一方、王手王手と続けても先手を詰ませることができない。
これで先手の勝ちである。

▲81銀は詰めろではなく、はっきりと先手優勢であるが、難解な局面が続く。

では、なぜソフトは▲81銀を最善手としているのだろうか。

それは、▲63銀成とした後の後手△44歩という玉の退路の封鎖がソフトはできないからである。
△44歩の局面を3種類のソフトでそれぞれ2時間以上検討モードで検討したが、人間なら見える最善の退路封鎖を見つけたソフトはなかった。
△44歩に対する最善の退路封鎖は・・・▲54金打である。
歩の前に、金をタダ捨てするのである。
もし△同歩なら▲53金打から後手詰みである。

詰めろをとこうと▲63銀成に対して△82飛としても、うまい具合にちょうど6筋だけ先手の歩がなく、▲62歩打とすることができる。
どうやっても後手は詰めろとくことができない・・・つまり必死である。

▲63銀、△44歩の状態から、2時間では最善手が導き出せなかった。
もっともっと検討させたら、最善手にたどり着けるかもしれない。
しかし、人間なら数分あれば読むことができる。
※金井先生を侮辱しているわけではありません。
対局中、この時点で1手1分の秒読みに入っていましたので、▲63銀成を指せなかったのは仕方がありません

数分どころか、2時間もあれば級位者でも読むことができる。
その答えに、ソフトはたどり着けなかったのである。

このように、金駒(もしくは大駒)を捨てる手をどのように評価するのか、というのはソフトの今後の課題だと思う。
藤井聡太七段が言う通り、局面によっては人間の方が読める、ということである。

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